手動タイプライター、主に Olivetti 製についてまとめています。

olivetti valentine

説明書がついていないタイプライターを入手した方、
説明書でいまいち分からないところがありましたら、ご確認下さい。

主に Olivetti Lettera DL(レッテラ ブラック) で説明を行っています。
Olivetti 製のタイプライターではほぼ一緒です。
他メーカーのタイプライターでも共通しているところがあります。


目次


使い始め

タイプライターを取り出したら、
左右どちらかに キャリッジ・ロック を手前に動かし、ロックを外します。

Lettera DL は右側

左側にある機種も

これを行わないとキャリッジ部分が動きません。

次に用紙をセットします。
ペーパー・サポート を出して置くと良いでしょう。
一部機種では ペーパー・サポート がありません。

Lettera DL にはペーパー・サポートがあります

ペーパー・サポートを出したところ

紙は裏にして奥の溝に入れて、右にあるノブを回して手前に出します。

紙を裏に溝に入れる

ノブを回す

紙が手前に出てきた

もし、斜めになってしまった場合は、
黒いレパー ペーパー・リリース・レバー を手前に引くと
紙を動かす事ができますので、
まっすぐになるように整えて、レバーを押して固定します。

ペーパー・リリース・レバー

機種によっては回転するタイプになっています。右側を手前に引きます。

ペーパー・リリース・レバー

銀色の ペーパー・ケイル・スケール で紙を挟む事ができますので、
上げて紙をスケールの下に通すようにして、挟んで下さい。

ペーパー・ケイル・スケール

これを下げて紙を挟む

これを行わないでタイプすると、正常に印字されない場合があります。

紙の奥を見ると、定規のようなところに2ヶ所突起物があります。
これは マージン・セット・スライダー といって、印字できる範囲を指定できます。
下に押しながら左右にずらします。基本的に紙から内側数文字分に設定します。

マージン・セット・スライダーで印字位置を指定

左にレバーがあります。キャリッジ・リターン・レバー と言います。 パソコンでいう、これが Enter(return)キーの代わりです。 機種によっては倒れていますので、立てます。

キャリッジ・リターン・レバー 機種によって倒れている

手前に立てたところ

レバーを右に動かすと 1 行ずれ、更に右に動かすと右に動きます。
最初はキャリッジそのものをもって右に動かして構いません。
これで紙を左へ印字するよう、動かす事ができます。

右へ動かす

このように

紙の左まで

「0 1 2 3」と書いてあるレバーは行間を設定できます。
下に動かすほど、行間が開きます。
「0」は行間に数字・記号を加える際に使います。

ここで行間を設定

機種によってはダイヤル式になっています。この場合でも左側にあります。

機種によってはダイヤル式

中を開けたインクリボン左側の手前に銀のレバーがあります。
タッチ・コントロール・レバー といいます。
下に動かすとタッチが軽くなり、上に動かすと重くなります。3 段階になっています。
一番軽い状態でもパソコンより重いです。

タッチ・コントロール・レバー

機種によって形状が異なる

機種によって形状が異なります。
Valentine は タッチ・コントロール・レバー がありません。


タイプ

2 の左 にあるのは マージン・リリース・キー です。
機種によっては Q の左にあります。
これを押している間は設定していたマージンから外へ
キャリッジを移動する事ができます。

マージン・リリース・キー

機種によってこんな印字

パソコン同様、普通にタイプすると、
数字や記号はキーの下に書いてある文字となり、英字は小文字となります。

スペース・バー を押すと 1 文字分右に動きますが、
具体的には押した状態になると半文字分動き、離してもう半文字分動きます。
スペース・バー を押しながら文字を打つ事で
半文字ずらして文字をタイプする事が可能です。これは脱字の訂正に使えます。

Z の左、赤いキーの下にある大きいキーはシフトキーです。
パソコンと同じですね。
数字・記号は上の文字となり、英字は大文字となります。

左側シフトの上、A の左にあるのが、シフトロック になります。
パソコンの Caps Lock 同様に英字の大文字を入力する事になりますが、
ずっとシフトが押された状態になるため、
数字・記号も上に記載されている文字となるので注意が必要です。
本当に シフトロック なのですね。
シフトロック を解除する場合は、シフト キーを軽く押します。

シフトロック

押した状態

右にある矢印のキーは バックスペース です。
一部右を向いている場合がありますが、機能は一緒です。
パソコンと同じく 1 文字左に動きますが、もちろん文字は消えません。
矢印キーの ← を押した状態と考えた方が良いでしょうか。
これを用いて文字を重ねる事ができます。
例えば数字の 0 に /(スラッシュ)を付けたり、
文字に _(アンダーバー)で下線を付ける事ができます。

バックスペース

機種によってはこんな感じ

バックスペースの下に赤いキーがある場合は タブレター・キー です。
機種によってはバックスペースの上にあります。
いわゆる タブキー ですが、パソコンでは左にあるキーが、
Olivetti の手動タイプライターでは右側にあります。
これを押すと任意の位置まで移動させる事ができます。

タブレター・キー

機種によっては TAB の印字がある

タブの設定はキーボード左側にある タブ・セット・レバー で行う事ができます。
タブをセットしたい場所へ移動させたところで、
レバーを上に上げて設定、下に下げて解除となります。
タブ・セット・レバー が付いていない場合は、数文字毎で固定設定されています。

タブ・セット・レバー

一部の機種には スペース・バー の右 に リピート・スペース・バー があります。 リピート・スペース・バー を押している間、キャリッジが右に動き続けます。

リピート・スペース・バー

黒・赤のインクリボンを使っている場合は、
キーボード右の リボン・ポジション・レバー で色が設定できます。
黒・青のところが黒印字、赤のところが赤印字です。
もちろん赤がない黒のみのインクリボンを用いた場合は赤にしても黒印字になります。
白・黄色のところにすると、インクリボンに触れず活版が直接当たる状態になります。

リボン・ポジション・レバー


使用終了

キャリッジを右へ動かした状態(行の頭を入力する状態)にしておきます。

キャリッジを右へ動かしておく

ノブの右手前(キャリッジの左)にある キャリッジ・ロック・レバー を
奥に押してロックをします。

キャリッジ・ロック・レバー

左側にある機種も

その後、キャリッジを持ちながら、
キャリッジの左右奥にある キャリッジ・リリース・レバー を押します。

キャリッジ・リリース・レバー

すると、キャリッジが素早く中央に動いて止まります。

キャリッジが動いて……

中央で止まる

この状態でしまって下さい。


Q&A

数字の 1 が存在しないのですが……

他のキーで代用するのが基本です。英文小文字の l で代用する事が多いです。
同様に数字の 0 が存在しない場合、英文大文字の O で代用する事が多いです。

一部のキーでキャリッジが動かないのですが?

正常です。
一部の配列では デットキー といって、キャリッジが動かないキーがあります。
インターナショナル配列では ´¨^` キーが該当していますが、
例えば ¨e とタイプする事で ё を実現できるようにしてあります。

インクリボンが動いていないのですが?

リボンがたるんでいる場合は手で巻き直してみて下さい。
または、正常にインクリボンがセットされていない可能性があります。
下記に正常にセットしている時の写真を載せておきます。
円柱状の部品を通し、リバーシングガイドにリボンを差し込む必要があります。

正常な状態

このようになっている必要がある

片方がなくなっている状態の場合は
リボン回転の反転動作が正常に行われていないと思われます。
リボンを差し込んでいるリバーシングガイドを左右に動かせますので、
これを動かしてリボンが動作するかご確認下さい。
反転しないのは、スプールにリボンを取り付ける際の
取り付け場所を誤っている場合があります。
リボンの端についている2ヶ所のハトメ(円型の金具)がありますが、
端のハトメより数センチいったところ(約1/3のところ)をスプールに差し込みます。
こうしないとリバーシングガイドにハドメが当たらず、反転動作しません。

インクリボンは回転が終わってしまうと交換しないといけないのでしょうか?

最後まで回転が終わると反転して、逆回転をしはじめます。
これにより継続して利用する事が可能です。
感熱式プリンターのリボンカセットとは違い、何往復も使えます。
交換は薄くなってきた時となります。