1980年～1990年代に普及した電子手帳についてまとめています。

漢字入力に対応し、キーボードで入力するタイプの電子手帳で、
その後普及した手書き入力型（PDA と言われた時期の機種）は扱っていません。

コンピュータが進化途上だった時代で、
（ゲームでいうファミコンの時代で、ゲームボーイがではじめた頃）
計算機の小型化と共に多機能化も生じ、その一つとして、
電話帳機能が付いた計算機が発売されます。
ここから進化してメモ機能やカレンダー・スケジュール機能が付与され、
漢字入力も対応して、手帳代わりに持ち歩く 電子手帳 となります。
（漢字入力は当時発売されていたワープロ専門機の機能を流用しています）

その後キーボード入力以外にスタイラス（タッチペン）を用いた手書きメモ手帳が備わり、
そこから進化して、全面タッチパネル式の PDA となります。
キーボード搭載の PDA と共に携帯電話・PHS の SIM も使えるようになり、
W-ZERO3・Blackberry、そして iPhone・Android などの登場により、
現在の スマートフォン へつながっていきます。
簡単な話、 スマートフォンのご先祖様 です。

このページでは主にシャープ（Panasonic・日立）製の
電子手帳 漢字・電子システム手帳 シリーズと
（漢字電話帳 PA-6000 も扱っています）
カシオ製の 漢字電子手帳 を主に扱いますが、
他の電子手帳などでもヒントになる事があるかもしれません。

Panasonic 製・日立製の電子手帳はシャープ製の互換品です。
シャープと記載している内容で同じ動作が有効です。

目次

電子手帳を動かしてみたい！

電子手帳はボタン電池で動作します。 そもそも充電ケーブルは存在しません。

シャープ (Panasonic・日立)・カシオの電子手帳は次の電池になっています。

★ CR2354 は扱う店が少なく、家電量販店で扱ってる事が多いようです。
Panasonic 系の個人商店（Panasonic のお店）やネット購入もできますが、
年数の経過したボタン電池を入手し、動作しない可能性があります。

☆ PA-6000 は 電子電話帳 として発売されています。

● カシオの電子手帳は機種によって バックアップ の区別なく
3 つをすべて交換する機種があります。
この場合、1 つずつ外して交換し、他の 2 つを通電状態にしておく事で
データが破損せず、維持できる仕様になっています。

◯ DK-700 は卓上型漢字電子手帳です。
本体が大きいので、ボタン電池の代わりに乾電池が採用されています。
（ボタン電池 3Vx2＝乾電池 1.5Vx4＝6V）

ドライバーで裏蓋を開封して下さい。そうするとボタン電池にアクセスできます。
シャープ（Panasonic・日立）はプラスドライバー、カシオはマイナスも使えますが、
小さいネジなので、精密ドライバーがおすすめです。

久しぶりに電池を入れた場合はメモリの中身がおかしくなっているはずなので、
リセット ボタンを押す必要があります。正常ならそのような画面が表示されます。
これでも電池交換スイッチや、IC カード対応の機種はカードのロックも確認して下さい。
また、機種によっては裏蓋を閉じる事で電源が入るようになっている場合があります。

シャープ（Panasonic・日立）製では電池を入れて動作していない場合でも
入 ボタンを押しながら リセット ボタンを押し、初期化操作を行う事で、
動作できるようになる場合もあります。
データ破損時は電源が入らず、リセット・初期動作も効かない事もあるようです。
諦めずにボタン電池を外して入れ直したりしていると、
そのうち動作するようになる場合もあります。

カシオで データ異常！取扱説明書をご参照下さい と表示された場合は
次を参照して下さい。

 Q&A - カシオの電子手帳でデータ異常と表示されています

当時の液晶はコントラスト調整があります。表示が見えてなくても、
カシオは本体横にダイヤル・ノブがあるので、回してみると表示される可能性があります。
シャープでは 機能 - ☆ (PA-6300 は 機能 - 特別機能 ) の中に
表示濃度調整 ・ ﾋｮｳｼﾞﾉｳﾄﾞﾁｮｳｾｲ があります。
▲ ・ ▼ で濃さを調整して下さい。

使い方

液晶表示は当時の電子手帳みたいにそれっぽくテキストで作ってみたものです。
そのため、フォント形状やサイズなど、実機と異なるところがあります。
後期の機種になってくると、テキストだけではなく、アイコン表示もあります。

基本的には電子手帳のキーボードで直接入力し、表示して使用するのが基本です。

ハイパー電子システム手帳 DB-Z シリーズ はスタイラス（タッチペン）を用いて
画面上をタッチして一部操作ができるようにもなっていました。
これが後に電子手帳の後継となった PDA での基本動作になります。

シャープでは基本 名前 ? や メモ ? が表示され、
この段階で文字を入力して 入力 で項目が移っていき、データの登録を行えます。
表示を行うのは ∧ 呼出 ∨ で順番に表示され、
文字を入力した後に ∧ 呼出 ∨ で入力した文字を含むデータを表示します。
（電話帳では 名前 以外の項目を 機能 - ∧ 呼出 ∨ で検索できます）

電話　モード
使用　　 0件
マーク　 0件

カシオの電子手帳は電源を入れた時、上のような表示になります。
機種により最後に使っていた機能になる機種と、電話になる機種があります。
電源を入れた状態では データアウト の状態で、
検索・表示を行うモードになっています。
機種により 数字 または ▲ ・ ▼ で選択し
表示切替 で一覧・詳細などに切り替えて表示します。
そのため複数行表示できる機種で詳細を表示すると、
複数のデータがつながって表示されます。
そのためワイド画面の後期機種では 前データ ・ 次データ ボタンもあります。

何かデータを入力して登録する場合は データ イン/アウト または イン/アウト キーで
画面に IN を表示させて下さい。これで登録できるようになります。
一部の機種は データ イン/アウト がない代わりに サーチ と 登録 になっています。

電話

名前 ?

第一太郎
0123-45-6789

2 行表示だと基本的に 名前 と 電話番号 を表示します。
検索機能で名前を検索し、表示された電話番号を元に
固定電話・公衆電話で電話をダイヤルしていました。
当時の電話番号は 10 桁、- を付けて 12 文字なので、
番号 12 文字・漢字 6 文字の横幅になっている機種が多いです。

第一太郎
0123-45-6789
FAX0123-45-6780

当時は FAX も使われていたので、番号部分を縮小表示にして
FAX 番号も表示できるようにした機種もあります。
機能 - 1◀▶2 ライン で表示を切り替えできます。

第一太郎
0123-45-6789
宮城県仙台市

カシオでワイド画面ではない初期の機種は 名前・電話番号・住所の 3 行固定です。
ただし右に伸ばして入力できるので、
名前 に 会社名・所属、電話番号に FAX・携帯 などを入れる事もできます。
後期の機種はその他の項目も存在し、上下スクロールして複数行表示できます。

第一太郎　　0123-45-6789
仙台市青葉区中央1-1-1
千代株式会社

カシオのワイド画面（横幅が広い液晶）になっている機種で
電話は名前の右に表示し、さらに他の情報を入れられるようになっています。
そのため、一覧表示でも名前と電話番号を表示する仕様です。

機種によっては電話の入力時に
機能 - 1/4角 で小さいフォントにして、2 行表示にもできます。

カシオで登録する場合は データ イン/アウト または イン/アウト キーで
IN を表示した状態で 名前から入力し、次項目 または 改行 で
電話番号→住所 (→その他) と項目が進んでいきます。登録 で登録されます。
一部の機種は データ イン/アウト がありませんが、その操作を除いて同じ操作です。

名刺・名刺管理として、電話と別機能となっている機種もあります。
この場合は電話番号の代わりに社名や所属を検索・優先表示します。
もちろん名刺の情報は手入力していく必要があります。

メモ

メモ ?

サラリーマン
は電子手帳と
きたもんだ!!

汎用的に様々な情報を入れておけます。
ただし装飾はできないので、パソコンでいうメモ帳・テキストエディタの状態です。

メモ ?

ﾍﾘｳﾑ 400L
ｺﾞﾑ ﾌｳｾﾝ
12ｲﾝﾁ▶20
10ｲﾝﾁ▶30

漢字が入力できない代わりに文字数を増やすようにもできます。
多くの機種では メモ を押す毎に表示モードが変化します。

シャープの機種では縮小表示で 文字列 - 計算データ - 数字 と入力し、
簡易的に表を作成できます。計算データ は ▶ で表示されます。
表示中に 計算データ を押すと、行単位で選択でき、その数値から計算できます。

カシオの機種によっては漢字付と縮小文字（1/4角）を混在できます。
IN モードで入力中に シフト - 1/4角 で切り替えます。

カシオでワイド画面に対応していない初期の機種では、
一つのメモに対して、3 行または縮小表示 6 行固定になっています。
改行せずに右へ文字を伸ばすか、複数メモを登録します。
後期だとワイド画面でない機種でも複数行入力できるようになっていますが、
縦にスクロールするようになっています。

計算

＊ 計算 ＊
          0.

  ,  ,  ,
 1234567890.

紙の手帳に合わせた計算機も存在しているので、必須アイテムでしょう。
通常の電卓で使える計算は使えるようになっています。
メモリ機能が付いている電卓相当です。
機種によって、3 桁毎の ,が上に表示されます。

シャープの場合、＊ 計算 ＊ と上部に表示します。
2 行表示では一時的な表示で 計算 へ切り替えた後数秒間または入力まで、
4 行・8 行表示では常時表示されます。関数計算はカードで提供されています。

カシオは余計な表示がなく、数字のみを表示します。
＋ ・ － ・ ✕ ・ ÷ を押すと画面にも表示されるのは、カシオの電卓に同じです。

卓上型漢字電子手帳 DK-700 は数字が大きなキーになっていて 12 桁表示、
小数点以下動作設定スイッチ（ラウンドセレクター・小数点セレクター）が付き、
本格的な電卓として使える仕様になっています。

カレンダー

 ** 2025年 6月 **
日月火水木金土
  1  2  3  4  5  6  7
  8  9 10 11 12 13 14
 15 16 17 18 19 20 21
 22 23 24 25 26 27 28
 29 30

  SU MO TU WE TH FR SA
   1  2  3  4  5  6  7
   8  9 10 11 12 13 14
  15 16 17 18 19 20 21
  22 23 24 25 26 27 28
  29 30
           [ 2025- 6 ]

4 行までの機種は上のように小さいフォントで数字を表示します。

スケジュールがある場合は数字の右に .や :が付きます。
上が午前、下が午後となっています。
機種により、休日を反転表示にできます。

初期化直後は 1900 年や発売当時の 1980 年代で表示されているでしょう。
C・CE または ON・クリア キーで日付を入力します。
シャープで電源を入れた時にその日を表示させたい時は
スケジュール でその日を表示し、機能 - スケジュール でその日を優先呼出日に設定します。
カシオの場合、年・月・日（時・分）の移動は 時刻・日付 キーで移ります。
電源を ON にした時にその月から表示したい場合は、
スケジュール でその日を表示して下さい。

'25                    1
  3  2  3  4  5  6  7  8
     9 10 11 12 13 14 15
    16 17 18 19 20 21 22
    23 24 25 26 27 28 29
    30 31

一部の機種では曜日が入らず、液晶の上に印字されてあり、
更に 30 31日が日曜・月曜の時に表示しきれず、
専用の表示領域が存在していたりします。

   SU MO TU WE TH FR SA     SU MO TU WE TH FR SA
 4        1  2  3  4  5   5              1  2  3
    6  7  8  9 10 11 12      4  5  6  7  8  9 10
   13 14 15 16 17 18 19     11 12 13 14 15 16 17
   20 21 22 23 24 25 26     18 19 20 21 22 23 24
   27 28 29 30              25 26 27 28 29 30 31
               - 2025 -

解像度の広いシャープの ハイパー電子システム手帳 DB-Z や
カシオのワイド画面な機種では複数月表示できます。

スケジュール

2025年3月9日(日)
13:00～
千代 南店

      2025年 3月 9日(日)
13:00～13:30
風船仕入
千代 南店

カレンダー連動で、その日と時間のスケジュールを入れます。
日時は小さいフォントで表示されています。

C・CE または ON・クリア キーで日時を入力します。
機種によってはカレンダーで日付を設定し、スケジュール へ切り替えます。
カシオでは表示した日を電源を入れた時に表示するようになります。
シャープでは 機能 - スケジュール として優先呼出日を設定します。
右上に ◇ が表示されます。

時計機能が備わっている機種では、本日のスケジュールが優先表示されます。

カシオでスケジュールの時間をグラフィック表示する機種では
表示切替 でグラフィック表示と詳細表示を切り替えます。

時計・世界時計

◯東京
2025年 3月10日(月)

    11:11 AM

機種によっては時計機能も備わっていて、現在時間を表示できます。
連動して今日のスケジュールを表示できたり、
アラーム機能により、時間が迫ると、音で知らせて表示する仕組みもあります。

＞ﾆｭｰﾖｰｸ
2025年 3月 9日(日)

     9:11 PM

辞書

読み ?

ﾌｳｾﾝ
 balloon

フウセン

風船

機種によっては辞書機能が本体に搭載されていました。
ただし、当時の容量から、表示は最低限です。

漢字辞書は通常の漢字変換と同じ操作を行う事で、漢字を大きく表示できます。
カシオの 辞書 は基本的にこの機能です。シャープで備わっている機種もあります。

英和辞典・和英辞典までついている場合は、単語を検索して訳を表示できます。

辞書機能がない機種でも IC カードで使用する事ができます。

カード

シャープの電子手帳が普及したのが、更に IC カードを購入する事で、
様々な機能を追加できる仕組みが備わっています。

ゲーム・占いなども発売されていましたが、そもそもビジネスツールだったからか、
オークションの出品状況を見ても
辞書やデータの追加目的で電話帳・メモリカードを入手していた人が多いようです。

カシオの漢字電子手帳にも IC カードが使えた機種がありますが、
ワイド画面対応の一部に限られます。

電子手帳を売買する

今すぐ行えるのはフリーマーケット・オークションのページ・アプリでしょう。

シャープ・カシオ共に完動品で 1000 円位からの出品です。
カード付きでの出品やハイパー電子システム手帳 DB-Z シリーズ、
Panasonic 製など他社製だと高値出品でも落札されるケースがあるようです。
価格より大事なのは完動品で、正常動作している液晶表示などがあるものは
落札されている事が多いので、動作している液晶画面の映像は重要です。
また電源が入らない、液晶が黒くなっているなどのシャンク扱いでも
パーツ取り目的で落札される可能性があります。

シャープ向け IC カードは 1 品数千円での取引が多いようです。
海外情報によると、IC カードの故障が本体に比べると少ないらしく、
動作未確認でも動作する可能性が高いようです。
カシオ製はカード対応機種が少ないので、出品は珍しいです。

リサイクルショップでは店舗によりそれぞれかと思いますが、
店員さんが使い方を知らず、ボタン電池の交換もわからずに
ジャンク扱いにする事が多く、安値で入手できる可能性が高そうです。

派生商品

電子手帳に近い形で同時期に販売された商品です。

電子電話帳 or 電話帳＋電卓

NAME ?

ﾅﾏｴ?

主に電卓の延長で電話帳機能が付いたものです。
電卓機能単体では飽和状態と考えられた事から、
対策として電卓に付加機能を追加するようになります。

電子手帳のように定まった名称がなく、メーカーによって異なる名称で、
シャープだと 電子 カナ メモ・進化電卓・POCKET DBなど、
カシオは DATA-CAL・DATA BANK の名称です。
他にもキヤノン、シチズンなど、いくつかの会社が制作・販売しています。

キー入力の主流は電卓のテンキーに割り当てられているため、
昔の携帯電話方式（スマートフォンでいうフリック入力の元）が多いです。
一部 50 温順や QWER 配列の機種も存在しています。

電子手帳よりも情報量や表示内容に制限がありますが、
製造工程・パーツ的に通常の電卓と変わらない状態になっていたため、
価格も通常の電卓と変わらなかった事から、入手している人も多いようで、
現在でもフリマ・オークションの出品がよく見られます。

ﾀﾞｲｲﾁ ﾀﾛｳ
0123-45-6789

名前は英数やカナ入力、電話番号は数字固定（7 セグモント）の 2 行表示が主流です。
ただし電話番号部は 数字・－・スペース で自由に入力できるので、
電話以外の用途でも使えます。

DAIICHI  0123
 -45-6789

一部の機種では名前が 6～8 文字で、下の数字は 8 桁表示、
電話番号のうち市外局番 4～5 桁を名前の右に小さく表示するようになっていました。

ﾀﾞｲｲﾁ ﾀﾛｳ
0123-45-6789
0123-45-6780

トーンの音（ピポパ）が出できて、受話器に近づける事で、ダイヤルできる機種、
FAX 番号ボタンが付いた機種や、FAX 番号を含めて 3 行表示になった機種、
会社名ボタンが付いて、名前と会社名を切り替えて表示できる機種、
電話帳機能付き関数電卓、電話以外にスケジュールや時計などの機能も備えた電卓、
逆に電卓機能がない電話帳機能に特化した製品など、
様々なバリーションの商品が制作・販売されています。

ポケットコンピュータ

READY P0

RUN MODE
>

電子手帳同様、シャープとカシオが２大企業で商品を出し続けていました。
2009 年に発売されているシャープの PC-G850VS が最新機種となります。
PC-E200・G シリーズは CPU は Z80、PC-G815・PC-G850 シリーズはグラフィックも扱え、
けっこうパソコンに負けない機能を備えるようになっていました。

小さなパソコンでもありますが、プログラムができる関数電卓の位置づけもあり、
学校教材になり、継続的に生産を継続できた影響です。
そのため、単独で関数ボタンを備え、
パソコンのように PRINT (?) と入力しなくても計算できるようになっていた機種が多いです。

入門向けは 1 チップで作られ、安値販売された機種もありましたが、
電子手帳と共通したパーツもあり、当時価格も電子手帳と同じ位が多いようです。

電子手帳ではプログラム BASIC カードが提供され、
ポケットコンピュータに近い状態で使用する事もできましたが、
これらの機能に近い形でポケットコンピュータ実機が開発・発売されていたりします。
（PC-E500～E650・U シリーズなど）

ポケットワード PW-1000

３行のようですが、１行は
情報用なので、２行表示＿
　　　　　　 1  2 12 99

ワープロとして発売されていますが、プリンターはなくボタン電離 CR2032 x3 を使用し、
持ち運びできるようにしたワープロ専門機です。
ワープロ以外にも住所録。スケジュール、カレンダー、電卓機能が付いていて、
いかにも大きいサイズの電子手帳という感じの仕上がりになっています。
ただしワープロなので装飾ができ、
キーボードもカシオ製のワープロ専門機に合わせた並びになっています。

液晶そのものは 3 行表示ですが、一番下は情報表示に使われていて、
右下はページ・行・桁・メモリの空き (%) 表示、
左下は主に漢字変換の候補表示に使われています。

電子辞書

電子手帳にも辞書機能がありましたが、その単独機能になったもの。

これは現在も販売されていて、収録容量も増加しているため、
メモ機能や画像ビューアなどの機能がある機種も多いです。
カシオと同じノートパソコンの開き方となって、QWER 配列になり、
電子手帳より一回り大きいサイズとなり、
液晶もカラー化され、発売されつづけました。
一時期は分厚い辞書代わりに利用する学生向け商品も開発され、
タブレット端末が普及するまで継続されるようになります。

シャープの電子手帳はしばらく Brain というブランド名が付けられていましたが、
現在発売されている電子辞書のブランドも Brain が使われていて、
電子手帳からの流れが現在も電子辞書として継承されている事がわかります。

電子手帳が発売されていた時期にも電子手帳と同じ位のサイズによる
電子辞書が発売されています。
多くの場合、いくつかの機種では辞書機能と電卓機能のみが多かったのですが、
シャープでは辞書・電卓以外に電話帳・メモ帳機能も備えていて、
電子手帳や電子 カナ メモ と同様の機能があった機種もあります。
電子手帳同様に漢字入力できる機種は
2 行表示の PA-6000・PA-6300・PA-7000 に近い動作ですが、
メモ帳は縮小表示がない点で違いがあります。

Q&A

なぜ電子手帳が存在していたのですか？

当時の日本では携帯電話がまだ普及していません。
1985 年に NTT が ショルダーホン を発売した、という時代です。
（携帯電話の普及は 2000 年前後）
なので、電話は固定電話または公衆電話が当たり前で、
電話してきてほしい時はポケベルで呼び出していたりしています。

固定電話でも液晶が付いて電話帳機能、というものも存在せず、
電話をするためには電話帳で調べて電話番号をダイヤルする必要があったので、
電話帳も必須で、紙面の電話帳、外出する人は手帳に電話帳も備えていたわけですが、
電子手帳は紙面の手帳に比べて購入費用としては高額であるものも、
紙面の手帳より小さく、たくさんの情報を入れて、検索が素早くでき、
長年使い続けられるアイテムだったので、ビジネスマンアイテムとなり、
当時は TV CM でもよく放映されている程、知名度あるアイテムでした、

後のタッチペン操作になってくる PDA になってくると、
パソコンの OS も Windows になり、パソコンとケーブル接続できるようになります。
（パソコンからアプリをインストールする仕組みになっている機種が多いです）
その後携帯電話の SIM や Wi-Fi 対応となって、スマートフォンにつながっていきます。

電子手帳は子供にも人気があったのですか？

当時のパソコンは 1 台数十万円が主流です。
一方電子手帳は 1～5 万円位でしたので、
子供がパソコンの代わりに入手したりするケースもありました。

このような子供需要もあり、子供をターゲットとした電子手帳や
より安値な電子メモにアニメキャラクターの外見にしたもの、
また、ゲームボーイでも電子手帳ソフトが開発・販売されています。

今電子手帳を入手するメリットはありますか？

電話帳・メモ・カレンダー・スケジュール・計算・辞書などの機能は、
現在スマートフォンやタブレット端末で代用できますし、高機能です。
なので、機能面として基本的にはわざわざ入手するメリットはないでしょう。

この頃の電子手帳は現在のパソコンとの連携が難しい または できない仕様なので、
ネット上に公開すべきではないシークレット情報の保存などには役立つかもしれません。

また、ボタン電池が消耗してデータが消えても良い前提で、
数日中のスケジュールやメモなどを使用して持ち歩くのも良いでしょう。

ほとんどの場合、数百円～数千円と安値で入手できるので、
コレクション的に数台入手してみるのもアリです。

カレンダーなどは今でも正常に動作しますか？

シャープ・カシオ共に 2000 年問題は発生していないようで、
現在の日付に設定して、正しく曜日を表示できます。
また、休日設定ができる機種もありますが、祝日などの設定はなく、
個別に休日を設定できるため、当時の祝日で表示されてしまう問題もないようです。
（個々に休日が異なっているのを考慮しているようです）

電池を交換してみましたが、電源が入りません

ボタン電池が数年保管していたものだと、電池が原因な場合があります。
お店から購入したての新しい電池を使用して下さい。

特にシャープ (Panasonic・日立) 製の二つ折りタイプは
電池を交換しても電源が入らない状態になっている機種が
増えているように思われます。
カシオも二つ折りですが、現在でも電源が入る機種が多い感触です。

PA-6500 は液晶の下に 入 があるので、電源が入るのですが、
一部のキーが入力できなくなるケースがある事から、
多くの IC カード搭載機種では 入 ボタンを含むボタンとの
通電が断線状態になっている可能性がありそうです。
そのため、二つ折り構造になっていない PA-6000 や PA-6300 は
現在でも正常に使用できる事が多く、
PA-6300 は液晶部の修理もできるので、現在でも使えます。

メモリが破損している時に動かない場合もあるようで、
電源を何度か入れ直してるうちに反応するようになったり、
リセット や 入 ＋ リセット で動作するようになるケースもあります。
諦めずに電池を入れ直してみても良いかもしれません。

カシオの電子手帳でデータ異常と表示されています

カシオで完全に電池がなくなっていた状態から時間を経過し、
電池を入れた時に表示されます。
通電されなかったため、メモリの内容が破損してしまった状態です。

　　データが異常です

　リセットしてください

DK-2000 などはこの表示です。
記載のとおり RESET ボタンを押すと正常に動作するようになります。

データ異常！
取扱説明書を
ご参照下さい

この表示になる場合は、裏蓋を開けて、ボタン電池が入っている状態で電源スイッチを ON にし、
メッセージが表示されている状態で RESET ボタンを 20 秒以上長押しして下さい。
その後電源スイッチを OFF にし、再度 ON にすると正常に動作するようになります。
表示が変化しない場合は、電源 OFF の状態で RESET ボタンを長押ししてみたり、
RESET ボタンを長押しする秒数をもう少し長めにしてみて下さい。
何度か操作しているうちに変化があるでしょう。

 Casio Digital Diary | SF-4990 | Data Error Fix | 2024

海外製品での操作、電源を ON にした状態で RESET を 20 秒ほど押す、と教えています。
発売時期に限らず同じ操作です。

入力の仕方がよくわかりません

シャープの電子手帳は、多くの場合 かな を ローマ字で入力していきます。
ただし ゛,゜ は別途キーが存在します。

んは Ｎ に続いて文字を入力しますが、N M ば続く場合や 1 文字は Ｎ ゛,゜です。
QWER 配列の PA-6300 は Ｎ Ｘ を使用できます。Ｎ 以外に Ｍ も対応しています。

カシオの漢字電子手帳は 50 音順のキーボードが多いですが、
英字は QWER 配列で並んでいて、ローマ字入力も可能になっています。
機種によっては ABC 順です。

その後漢字にする場合は 変換 - 採用 や 変換 - 実行 ですが、
まだ漢字変換に対応して間もない時期なので、短文で変換する必要があり、
音訓変換や人名地名変換、単漢字や無変換などのキーがありました。

なお、登録時に次の項目へ移るのは、シャープの場合 入力 、
カシオはまず登録したい場合、データ イン/アウト あたは イン/アウト で
液晶に IN が表示された状態にします。
ON クリア で 名前? や メモ? が表示されるので、これで入力します。
次項目 で項目を移していき、すべて入力したところで 登録 を押します。

当時のパソコンは Windows が未熟で MS-DOS が主流な時代で、
パソコンに触れている人が少ないため、
パソコンに合わせた QWER 配列の電子手帳は
日本発売だとシャープの PA-6300、カシオの DK-1400 など、
あまり存在していません。
一方海外では QWER 配列の商品もいくつか販売されていて、
日本では見られなかった形状も見られます。

長音はどうやって入力しますか？

カナ入力中に 長音 ー を入力したい場合は次の操作です。

シャープは通常 機能 - － (マイナス) と入力するケースが多いです。
PA-6300 は － 印字のある H キーを使用し、 機能 - H となります。

カシオは － (マイナス) キーに 長音 印字がある場合、シフト - － です。
ない場合 記号 に 長音 ー が含まれています。
これらに該当しない機種も存在するようです。

漢字の変換で候補がでてきません

電子手帳は漢字入力が可能になって間もない商品です。
そのため漢字辞書も必要最小限になっています。
例えば基本的に人名・地名ではない「風船」をカシオの電子手帳で変換すると、
ワイド画面ではない初期の機種では 単漢字 を使用する必要があります。

基本的に名前や住所の入力に使われるため、漢字辞書も人名・地名の登録が多めです。
例えば「仙台市青葉区中央」であれば、
　せんだいし 変換 ちゅうおうく 変換 ちゅうおう 変換
と変換をしていきます。それでも表示できない場合は 単漢字 変換で
1 文字ずつ入力していって下さい。

シャープでは ハイパー電子システム手帳 DB-Z、カシオではワイド画面液晶の機種の方が
漢字辞書も充実していて、変換 ででてきます。

カシオの電子手帳では、入力できない漢字の考慮で、
文字を生成できる 外字 機能が備わっています。
外字 はワープロ専門機で備わっていた機能です。

現在の携帯電話番号も登録できますか？

090-0000-0000 と入れると 13 文字で、はみ出してしまいますが、
- の区切りは定まっておらず、自由に入力できるので、
090-00000000 や 09000000000 と入力すると良いでしょう。

シークレット機能の使い方を教えて下さい

シャープでは 機能 - シークレット でパスワード入力になるので、
設定するパスワードを入力します。
Ｓ が点灯した状態で、機能 - マーク＊ を付けると
このデータはパスワード入力した状態のみで参照できるデータになります。

カシオでは をはじめて選択した時にパスワードの登録となります。
入力して「」が点灯している状態でデータを登録すると
そのデータは 点灯時のみ表示できます。

パスワードを忘れると、関連データを含めて削除する必要があります。

すべてのボタン電池を外したいのですが……

一部の機種を除き、データが消えないように、通常のボタン電池 2 つとバックアップ用電池は
どちらかは必ず入っていて通電する事でデータが消えない仕組みになっています。

よく見ると、ボタンが存在しています。（PA-9500 だと写真の ◯ 部分）
電池のカバーがこのボタンを押す事でスイッチを動かせる仕組みになっています。
そのボタンを押すと、電池を入れなくてもスイッチを動かす事ができるので、
すべてのボタン電池を外す事ができます。
通電されなくなるので、データが消去される可能性が高い事にご注意下さい。

PA-9500 などを入手し、ボタン電池のカバーがなくなっていてスイッチが動かない場合でも
電池を入れてボタンを押しながらスイッチを動かすする事で動作する可能性があります。
スイッチにも接点があり、「動作時」にする事で電源が入る仕組みになっています。

入力する度に音が出るのを消したいです

電子手帳は本体を薄くするためにフラットなキーボードが多く、
押した感触がわかりにくいため、音を出している機種が多いです。
基本的に ピッ という音のみです。（IC カードのゲームでもこの音のみ）

シャープは全機種音が出ます。（電子電話帳 PA-6000 を含みます）
機能 - ♪ で音を出したり消したりできます。

カシオは機種によって音が出せるように設定できる機種と音がでない機種があります。
対応している場合は 機能 のメニューに「入力音」があります。
機能 は複数のメニューがあるので、何度か押してみて下さい。

ボタン電池を交換したいですが、２ヶ所しか電池がありません

比較的時期の新しい機種では、裏蓋を外してもボタン電池が２ヶ所のみになっています。

よく見るとシールが存在し、そこにバックアップ用電池が存在している事があります。
ハイパー電子システム手帳 DB-Z の一部では、更にネジを外して分解すると
バックアップ用電池の交換ができるようになっています。

当時はシャープやカシオで交換する仕様になっていましたが、
さすがに年数が経過していますし、データが消去されても問題ない状態であれば、
交換するボタン電池も明確になっているので、自分で交換してしまいましょう。

パソコンとのやりとりはできますか？

シャープで全機種に存在する 4 ピンのオプションポートが特殊な形状なのと、
フォーマット解析されていないようで、
現状でのデータ送受手段が公開されていないように見えます。
4 ピンは主に電子手帳同士やカセットテープの保存で使われていました。
他社よりパソコンでの操作ができるものも出ていたようですが、
MS-DOS 時代の商品なので、現在のパソコンで動作が困難です。

ハイパー電子システム手帳はオプションポート 15（15 ピン端子）も存在し、
これは PC-E500 などのポケットコンピュータと共通です。
実際にシリアル通信で送受を行っているようで、
そのままデータを保存して、バックアップはできそうです。
フォーマットが分析できれば
現在のパソコン等でも送受できるようになるかもしれません。

 Sharp IQ-7100M Linux Link | Kjetil’s Information Center

海外の電子手帳でもオプションポート 15 を持つ機種があり、
それを用いてメモのデータを受信する方法が公開されています。
もしかするとハイパー電子システム手帳 DB-Z シリーズでも可能かもしれません。

カシオの漢字電子手帳で 2.5mm の端子が付いている機種は
これがシリアル端子で、データの送受が可能です、
3 極の先から TXD・RXD・GND となっています。
これはポケットコンピュータと共通です。

液晶が中央から黒くなってしまいました。酸っぱい匂いがします

ビネガーシンドロームと言われます。年数が経過した機種の液晶で発生してきます。

特にシャープでは PA-L1・S1・S1s・T1・X1・X3 と比較的後期の機種、
カシオは機種問わず多くの機種で黒くなってしまうようです。
一方シャープ初期の機種では、匂いがして薄く変化があるものも、
変色は軽微のようで、そのまま使い続ける事ができる機種が多いようです。

症状は出ても表示はできます。
問題なく表示でき、液晶まで分解できるのであれば、
偏光板を交換して改善する事もできます。
YouTube などで手順が公開されています。
遮光板は実店舗だと雑貨屋、ネットでも入手できます。
大きめのサイズを入手し、角度を確認して切り出すのが良いです。

ドライバーのみで基板が出せる状態にできる機種も多いですが、
ネジがない機種はツメで固定されているだけで、
工具を用いて分解できる仕組みになっているものが多いです。
よく見るとマイナスドライバー等を入れられるスリットが 1～2 ヶ所存在します。

液晶の一部が表示されなくなりました

特にシャープ PA-L1・S1・S1s・T1・X1・X3 の後期機種では、
液晶の一部が表示されない状態になる事があります。
特に同時期につくられたシャープの液晶で多く発生している現象です。
（ポケットコンピュータの PC-G850 シリーズ、任天堂の初代ゲームボーイなど）

基板とケーブルをつないでいる接着剤が取れてしまうのが原因で、
接続部分を温めて再接着する事で改善できる場合がありまます。
直接はんだごてで温めるとケーブルを溶かしてしまうので、工夫が必要です。
数段折り畳んだアルミホイルやハンダ吸い出し線経由にする動画があります。
そのうちアルミホイルはページ運営者も実施し、数台修理に成功しています。
何台か修理する予定があれば、このような修理を行うための
T 字形状のコテ先＋ゴムを入手すると良いです。

しかし、ページ運営者が実際に修理して確認した感じだと、
基板-ケーブル間だけではなく、ケーブル-液晶間の接着が取れて
表示されなくなっている物も存在しているように思われます。
特に表示されなくなっている部分が多く、
何が表示されなくなっているかわからない程に悪化している場合は
この可能性もありますので、ご注意下さい。
この場合は液晶周辺を触れてみると表示されたり、されなくなったりします。

電子手帳は海外でも販売されていましたか？

 Electronic organizer | Wikipedia (English)

はい。日本以外にも複数の国で電子手帳は販売されていました。

Wikipedia には electronic organizer または electric organizer と紹介されていますが、
シャープの製品は主に (Sharp) Organizer と言われています。
シャープの Wizard はブランド名です。（日本では Brain）
また、カシオは Digital Diary という商品名です。

日本と同じ形状で英語表記になった製品も販売されていますが、
QWER 配列でカシオ型の二つ折り（小さなノートパコオン状態）や
折りたたみのない形状がよく売れているようで、
シャープ製でも IC カード付ではない、価格の安い機種が売れていたようです。